サラリーマンはペーパーカンパニーを作れば節税できると耳にしたことがあるかもしれません。
節税できるのであればサラリーマンもペーパーカンパニーを作りたいと考えるでしょう。
ここで重要となるのは、ペーパーカンパニーでサラリーマンは本当に節税できるのかという部分でしょう。
そもそも、ペーパーカンパニーについて正しい理解が無い人も多いかもしれません。
ペーパーカンパニーの概要とサラリーマンは節税できるのかをご説明します。
ペーパーカンパニーの概要と具体例
サラリーマンがペーパーカンパニーで節税すると言っても、ペーパーカンパニーが理解できていない人も多いでしょう。
あまり身近な言葉ではありませんので、サラリーマンがペーパーカンパニーを理解できていなくても不思議ではありません。
まずはペーパーカンパニーの概要と具体例を説明します。
ペーパーカンパニーとはなにか
ペーパーカンパニーとは、法人登記はされているもの営業活動のない会社を指しています。
節税のために設立されるケースが多く、法人として税金面などのメリットを受けるためだけに設立された会社です。
一般的なペーパーカンパニーは、タックスヘイブンと呼ばれる税金面などで優遇措置がある地域に設立されます。
パナマやシンガポール、スイスなどタックスヘイブンに該当する地域は様々あり、そこに会社を設立することでその国々で法人に対して実施されている優遇措置を受けるようにするのです。
ただ、今回サラリーマンの皆さんにご説明するペーパーカンパニーは、海外で法人登記するものではありません。
日本国内で法人登記をして節税を狙うものです。
大企業などで言われるペーパーカンパニーとは種類が少々異なりますので、別物であると理解しておいた方が良いでしょう。
ペーパーカンパニーの具体例
近年、ペーパーカンパニーの例として名前が挙がったのは「株式会社チューリップ」です。
こちらは芸人であるチュートリアルの徳井義実氏のペーパーカンパニーです。
所得の多い芸能人やスポーツ選手などは、節税のために自分用のペーパーカンパニーを設立しています。
そこから自分に報酬を支払うようにすることで税金の調節ができるからです。
これは法人税と所得税の税率の仕組みに差があることが背景にあります。
徳井氏がペーパーカンパニーを作ること自体は問題ではありません。
ただ、事業に関係ない個人的な支出を経費として計上していたり、2016年から2018年の間は確定申告をしていなかったりしたことが問題となりました。
ペーパーカンパニーを設立したこと自体が問題ではなく、節税の範疇を越えて不適切な経費を計上したことが問題となったのです。
サラリーマンはペーパーカンパニーで節税できるのか
サラリーマンも上記でご説明したとおり、営業活動のない会社を設立して節税できるのでしょうか。
この部分は気になるサラリーマンが多いはずです。
続いてはサラリーマンがペーパーカンパニーで節税できるのかについてご説明します。
基本的にペーパーカンパニーは脱税で違法
基本的にペーパーカンパニーでの節税行為は、脱税で違法だとされています。
法律で定められているわけではありませんが、ペーパーカンパニーによる節税で有罪判決を受けている事例があります。
そのような事実がありますので、サラリーマンが節税のためにペーパーカンパニーを設立するのはおすすめできません。
後ほど改めてご説明しますが、リスクを抱えてしまうものなのです。
節税できる可能性はありますが、違法行為として指摘されるようなことを積極的に行ってはいけません。
条件次第ではサラリーマンの節税になることも
条件次第ではペーパーカンパニーでもサラリーマンの節税になる可能性があります。
サラリーマンがペーパーカンパニーで節税すると、必ず問題視されるわけではありません。
サラリーマンがペーパーカンパニーで節税できるのは、継続的な事業収入がある場合です。
金額は少なくとも多少なりとも事業をしていると認められれば、節税のために会社を利用できるようになります。
なお、事業が認められる程度に事業収入があるならば、厳密にはペーパーカンパニーの定義に当てはまりません。
ペーパーカンパニーは法人登記はしているものの事業自体はなく節税を目的としたものですので、事業実態があれば節税のための会社設立は問題になりません。
ペーパーカンパニーで節税と言われる3つの理由
ペーパーカンパニーを設立すればサラリーマンが節税できると言われる理由は3つあります。
それらについてご説明します。
節税できる理由1:課税所得額によっては税率が下がる
サラリーマンが法人を設立してそこで給料などを受け取ると、支払う税金が所得税から法人税へと切り替わります。
法人としてお金を受け取るようになりますので、法人として税金を支払うように変わるのです。
ただ、所得税の税率と法人税の税率は異なっています。
所得税は累進課税で徐々に高まっていくのに対して、法人税は基本的には一定です。
その結果、課税所得額によって所得税の方が税率が低くなったり法人税の方が低くなったりします。
この税率の差をうまく活用して、サラリーマンを説明しようとするのです。
節税のために会社を設立すること自体は不思議ではありません。
特に自分で事業を行っている場合は、会社設立をした方が税率の違いから支払う税金が少なくなる場合があります。
ただ、これは事業を行っている場合であり、サラリーマンが節税のためにペーパーカンパニーを設立するのは少々異なります。
事業を行わずにサラリーマンの節税のためだけにペーパーカンパニーを設立すると、それは脱税とみなされる可能性があるのです。
節税できる理由2:経費が計上できる
ペーパーカンパニーを設立すると経費が計上できるようになります。
通常、サラリーマンの給料に対しては経費の計上ができませんが、法人にしてしまえば経費が計上できるわけです。
しかも、法人はフリーランスや個人事業主と比較して計上できる経費の幅が広くなっています。
そのため、一般的には法人を設立することで、合法的に計上できる経費が多くなり税金面で有利だと考えられています。
ただ、理論上は経費が計上できるものの、ペーパーカンパニーの場合は少々異なります。
ペーパーカンパニーは営業実態がありませんので、どのような理由で経費が発生したのか説明が難しくなってしまうのです。
営業していないにも関わらず、経費だけ発生してしまうのは不自然だと思われてしまうわけです。
法人を設立して合法的に経費を増やし、節税対策とするのは不自然ではありません。
ただ、こちらの節税が利用できるのは、あくまでも営業実態がある場合のみです。
サラリーマンが節税のためにペーパーカンパニーを作った場合は、脱税行為とみなされるリスクがあるため注意が必要です。
節税できる理由3:所得の分散ができる
ペーパーカンパニーを設立すれば所得の分散が図れるようになります。
例えば給料をサラリーマン個人だけに支払ってもらうのではなく、サラリーマン個人とペーパーカンパニーの両方に分けて支払ってもらうのです。
そうすれば、所得が分散しますのでそれぞれに対して税金が発生するようになります。
これだけではサラリーマンの節税に繋がる印象がないかもしれません。
ここで重要なのはサラリーマン個人の所得が下がるということです。
サラリーマンは累進課税ですので、所得が多くなれば税率が高まってしまいます。
それに対して所得の分散をすれば、サラリーマン個人の所得が下がり税率も下がります。
結果、サラリーマン個人として支払う所得税の金額が小さくなるのです。
所得の分散をして節税するのは一般的な手法ではあります。
しかし、サラリーマンが事業実態のないペーパーカンパニーに給料を振り込ませ、それで所得の分散をするのは問題となる可能性があります。
サラリーマンはプライベートカンパニーの設立で節税できる
サラリーマンはペーパーカンパニーを設立してもリスクが有る点をご説明しました。
そこでおすすめしたいのはプライベートカンパニーの設立です。
続いてはペーパーカンパニーとプライベートカンパニーの違いをご説明し、節税できる理由についても触れていきます。
ペーパーカンパニーとプライベートカンパニーの違い
ペーパーカンパニーとプライベートカンパニーの違いは、事業実態があるかどうかです。
上記でもご説明したとおりサラリーマンがペーパーカンパニーを設立して、継続的な事業収入があればプライベートカンパニーとなるのです。
プライベートカンパニーになれば、法律上の問題が大きく改善されます。
事業実態がありますので、節税のためだけに会社を設立しているとは判断されにくくなるのです。
ただ、プライベートカンパニーとみなしてもらうためには、サラリーマン以外の事業収入が必要です。
概ね年に20万円以上は事業収入がないと、プライベートカンパニーではなくペーパーカンパニーと判断されてしまいます。
そのため、節税するためには多少なりとも事業所得を得られるようにしなければなりません。
毎月副業などで少しずつ事業所得を得て、ペーパーカンパニーではなくプライベートカンパニーで節税するようにしましょう。
プライベートカンパニーで節税できる理由
プライベートカンパニーで節税できる理由は、ペーパーカンパニーと同様です。
上記でご説明したとおり、法人には個人とは異なったメリットがあります。
そのメリットを合法的に活かせるようになりますので、プライベートカンパニーには節税効果があります。
プライベートカンパニーとして認めてもらうためには、サラリーマンの給料以外に事業所得が必要です。
このような所得があると、節税をしたいのに本末転倒であると考えてしまうかもしれません。
しかし、プライベートカンパニーで節税できる金額を考えると、副業の所得を多少計上したとしても、総合的には節税効果が大きくなります。
まとめ
サラリーマンがペーパーカンパニーで節税できるかどうかについてご説明しました。
基本的にペーパーカンパニーでの節税は脱税と判断される可能性があり、リスクが高いためにおすすめできません。
ただ、会社を設立して節税する方法は一般的なものです。
そのためサラリーマンはペーパーカンパニーではなくプライベートカンパニーを設立すれば、合法的に節税できる可能性が高まります。
サラリーマンが自分で会社設立をするのはハードルが高く不安を感じやすいものです。
そのため会社設立をして節税したいならば「経営サポートプラスアルファ」にご相談ください。
節税のプロがいますので皆さんにアドバイスしますし、会社設立が必要な場合は「経営サポートプラスアルファの会社設立サービス」で設立に向けたサポートを行います。